慢性的な痛み、不安症、その他の症状が和らぐかを見るためにカンナビジオール(CBD)の摂取を考えたことがある人も多いかもしれません。しかしCBD製品のラベルを読んで理解するのは難しく、特にCBD初心者であればなおさらです。
米国食品医薬品局が処方箋無しで購入できる市販のCBD製品の認可をしていないという事実が、CBD製品のラベルを理解することをさらに複雑にしているでしょう。
一方で、個々のCBD製品の品質や成分を決定付ける信頼できる第三者機関での検査や個別調査を行うことは、消費者である私たちに委ねられています。
十分な情報を基にCBD製品を選択するための助けがいるなら、CBDラベルの手引きとなるこの記事をご活用ください。
<INDEX>

1. 大麻の基本:CBDとTHC、ヘンプとマリファナ
まずは大麻に関連する用語を理解していきましょう。
CBD と THC
CBDは大麻草に含まれるカンナビジオールと呼ばれる成分で、広義ではカンナビノイドという成分の一種。THCも同じく大麻草に含まれるテトラヒドロカンナビノールと呼ばれる成分で、広義ではこちらもカンナビノイドという成分の一種です。
CBDとTHCという二つのカンナビノイド成分は非常に異なる特性を持っています。THCは向精神性でありいわゆるマリファナで「ハイになる」「キマる」と表現される感覚をもたらす一方で、CBDにはそうした感覚をもたらす効果はありません。
ヘンプとマリファナ
ヘンプもマリファナもカンナビスと呼ばれる植物(大麻)です。その違いはTHCの含有量にあり0.3%未満のものがヘンプ、それを超えるとマリファナとなります。CBDはヘンプ由来であることもあれば、マリファナ由来であることもあります。
住んでいる地域や法律によってはマリファナ由来とヘンプ由来のCBD製品どちらも購入できる場合もあれば、ヘンプ由来のみ購入できる場合、あるいはCBD製品が禁止されている地域もあることでしょう。
ヘンプとマリファナの違いを理解することは重要です。マリファナ由来のCBD製品だと向精神性の効果が出てしまい薬物検査で陽性反応を示してしまう場合があります。
ヘンプ由来の場合THCは極微量で、一般的には薬物検査で陽性になるほどの量ではありません。それでも陽性となる場合もあるので注意は必要です。
CBDとTHCはそれぞれ別々に作用するより、一緒に摂取した方がその効果は高くなると言われています。この相乗効果のことをアントラージュ効果(Entourage Effect)と呼びます。
2. アイソレート、フルスペクトラム、ブロードスペクトラム:違いは何?
どのCBDオイルを選ぶかでCBDそのものと併せてどういった成分が含まれているのかが決まります。
フルスペクトラムCBD (Full-spectrum CBD)
THCも含めた大麻が持つ全ての成分を含有しています。ヘンプ由来のフルスペクトラムCBDの場合、乾燥重量でTHCは0.3%を超えません。ただしオイルとして抽出された場合にはその数値は上がっていきます。
ブロードスペクトラムCBD (Broad-spectrum CBD)
全ての天然成分からTHCを完全に除去した状態のもの。あるいは極めて微量のTHCが残存しているケースもあります。
CBDアイソレート (CBD isolate)
CBD成分のみを取り出した製品。大麻の持つCBD以外の成分は分離されているため、当然THCも含有されていません。
ではどれを選べば良いのでしょうか?大麻の持つ全てのカンナビノイド成分を享受したくてフルスペクトラムを希望する人もいるでしょう。テルペンやフラボノイドといった成分は享受しつつTHCは避けたいという方はブロードスペクトラムを選ぶと良いでしょう。無味無臭で他の成分が一切入っていないCBDアイソレートをむしろ好むという方もいます。
カンナビノイド・テルペン・フラボノイド
ではその成分をさらに掘り下げます。CBDやTHCに加えて大麻には100種類以上のカンナビノイドが含まれていて、さらにそれ以外の数ある成分がテルペン類やフラボノイド類に分類されます。
カンナビノイドは体内のエンドカンナビノイド・システム(内因性カンナビノイド・システム)に働きかけます。エンドカンナビノイド・システムは体内の神経系や免疫機能のバランスを保つ役割を持っています。
テルペンはカンナビノイド同様に健康維持や健康促進の効果が期待できる植物性の化合物です。フラボノイドは緑茶や果物に含まれる化合物で身体を
3. 何を摂取しているのか知ろう
どのタイプの製品にするかが決まれば、次は原材料ラベルに質問を持つはず。その製品がカンナビジオール(CBD)を含有していることを確認します。度々変更される法律や規定の影響でCBDをヘンプエキス(Hemp extract)と表示しているケースもあるので注意。
カンナビジオールやヘンプエキスの記載がなくヘンプシード(Hemp seeds)、ヘンプシードオイル(Hempseed oil)、麻種子オイル(Cannabis sativa seed oil)と記載されている製品をCBD製品と間違えないよう注意が必要です。これらの原料はCBDとは異なります。
CBDオイルの場合、CBDを安定した状態で保存し体内への吸収を助ける目的でキャリアオイルが含まれていることが多いはずです。主原料にグレープシードオイル、MCTオイル、オリーブオイル、コールドプレスヘンプシードオイルなどと書かれているのはそのためです。
CBDオイルやCBD食品の中には天然もしくは人口の香料や着色料が使用されている場合があります。
フルスペクトラムCBD製品を購入する際は、THCの含有パーセンテージを見て自分の必要量と合っているかを確認してください。(※日本ではTHC含有製品の使用は法律で禁止されています)
ブロードスペクトラムもしくはフルスペクトラムCBD製品には、カンナビノイドやテルペンの含有が併記されている場合があります。こうした表示は分析証明書(COA)と一緒に掲載されていることが多いでしょう。
4. 第三者機関でのCBD製品検査を知る
良い評価を得ているCBD製品は分析証明書が付いていることがほとんどです。つまり製造元以外の外部の検査機関で客観的に検査が行われているのです。製品のQRコードをスマホでスキャンして分析結果にアクセスすることも可能です。
オンラインショップや小売店でも分析証明書が確認できるでしょう。もしそうでなければ、製造元にメールを送り分析証明書(COA / Certificate of analysis)の提供を受けるようにしましょう。内容を理解するのは最初は難しいかもしれませんが、いくつかの重要な部分を確認するようにしましょう。
ラベル記載事項の正確性
まず証明書に記載されているCBDとTHCの数値が製品ラベルに記載されているものと合致しているか確認します。ラベル記載事項の相違はCBD製品でよくある問題点となっています。
ある調査結果では、CBD製品全体の31%がラベルの記載を正確に行なっていると発表しました。オンラインで販売されているCBD製品84種類を分析した結果、CBDに関しては43%がラベル記載より高い濃度を示し、26%が低い濃度であることが判明しました。
カンナビノイドの記載
フルスペクトラムもしくはブロードスペクトラムCBD製品の場合、カンナビノイドのリストやその他の化合物のリストを見つけましょう。カンナビノイドはカンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノール(CBN)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)が表記されているはずです。
その他の検査結果チャート
重金属や殺虫剤の成分検査も探してみましょう。成分の混入の有無が判断できるはずです。もし混入しているなら摂取して問題のない数値なのかを確認します。チャート表記を確認して合格・適合を意味する”Pass”などが表記されているか確認すると良いでしょう。
5. どの濃度のCBDを選べば良いのか、1滴のCBD含有量は?
製品自体のCBDの量や1滴のオイルでどれだけCBDを摂取しているのかを考慮しようとした時に多くの混乱が起こ流ものです。
大きく記載されている数字は製品全体のCBD含有量をミリグラムで表記していることが多いでしょう。1回分や1滴に含まれる量ではありません。
CBDオイルの「mg/mL」という表記を探してみましょう。これがCBD濃度を示したものになります。
例えば、CBD含有量2,000mgのCBDオイル50mLのボトルの場合、40mg/mLとなります。蓋についているスポイトを使って1mLを計量したりさらに微量を取り出すことも可能でしょう。
CBD含有量300mgのCBDグミで30粒入っている場合は、1粒でCBD10mgということになります。
6. CBDはどこで買えば良い?
信頼できるCBD製品を買う方法はいくつかの選択肢があります。オイル、錠剤、食品は小売店直販のオンラインショップで購入可能です。
CBDを扱っているお店や薬局なら知識の豊富な店員さんから推奨のCBD製品を聞いてみるのも良いかもしれません。
もしCBDを扱っている信頼できる調剤薬局があるなら、アドバイスをもらうのに良いでしょう。係り付けのお医者さんにオススメしてもらうことも可能かもしれません。
7. CBDの副作用、副反応、安全性
CBDは一般的に安全だと言われていますが、その副作用としては下記のようなものが挙げられます。
倦怠感
下痢
食欲不振
体重の増減
もしCBDの使用を考えているなら、まず医師に相談するのが良いでしょう。CBDが市販薬、サプリ、医薬品との相互作用をもたらす場合も考えられます。特にグレープフルーツと一緒に摂取することを避ける必要がある薬などは特に注意が必要です。
同様にCBDがすでに服用している薬の効果に影響を与えてしまうことも考えられますし、肝臓への悪影響が出たケースも報告されています。しかしこれらの研究は動物での実験結果であり、同様の症状が出るのは極端な多量摂取を行った場合だと指摘しています。
8. いざ、購入
これであなたもCBD製品のラベル解読に必要な情報が揃いました。
CBD製品がその効能を大げさに強調していたり、分析証明書を持っていない場合は購入する価値のない商品でしょう。新しい商品の場合は常に少量の摂取から始め身体の反応を見ながら必要に応じて増やすようにしましょう。
CBDは合法なのか?
2018年にアメリカ合衆国の農業法案”Farm Bill“は、規制物質法における「マリファナ」の定義から「ヘンプ」を取り除きました。これによりTHC含有量が0.3%未満のヘンプ由来のCBD製品のいくつかが合法となりました。
しかし、THC含有量が0.3%以上のCBD製品は法的にはマリファナの扱いを受けてしまいます。国家レベルでは違法ですがいくつかの州では合法という扱いになるケースもあります。
旅行などで所持する際にはその点をしっかり確認するようにしてください。またアメリカでは米国食品医薬品局(FDA)は処方箋無しで購入できるCBD製品を認可していない点やラベル表記が正確でない製品があることも併せて覚えておいてください。
2021年6月29日
Comments