CBDとTHCはどちらも大麻に含まれる成分ですが、摂取時の身体への反応は異なります。合法のヘンプや大麻を原料とする商品の需要が増え、消費者もより新しいCBD商品の選択肢を求めるようになりました。
カンナビジオール(CBD)とテトラヒドロカンナビノール(THC)の二つの成分はエンドカンナビノイド・システムに作用しますが、それぞれの作用はとても異なります。
これらの成分の共通点や相違点を知りそれぞれどのように使われているのかを理解していきましょう。
CBDとは?
CBDはヘンプやカンナビスといった「大麻」から抽出され、合法である場合はTHCと呼ばれる成分(後述)を含みません。CBDはグミ、オイル、サプリ、エキスなどの形状で販売されています。CBDには大麻で連想するハイになるような向精神性の効果は生みません。
THCとは?
THCは大麻に含まれる主要な向精神性の成分でいわゆるハイになる感覚をもたらします。タバコなどのように吸って摂取する方法などがあります。(日本では違法)欧米の合法な地域ではオイル、食品、カプセル、液剤などの形状で手に入れることが可能です。
CBD vs THC:化学的な構造
CBDとTHCはどちらも21個の炭素原子、30個の水素原子、2個の酸素原子と同じ分子構造を持っています。原子配列のわずかな違いで身体に与える影響が異なるのです。
CBDとTHCはどちらも身体のエンドカンナビノイド(化合物であるカンナビノイドを体内に取り込む役割を持つ物質)に化学的に類似しています。そのためどちらもカンナビノイド受容体に作用していくのです。
この作用は脳内の神経伝達物質の発生に影響します。神経伝達物質とは痛み、免疫機能、ストレス、睡眠などのメッセージを細胞を中継して伝える役割を担う化学物質です。
CBD vs THC:向精神性の成分
化学構造が似ているにも関わらず、CBDとTHCの向精神的な影響は同じではありません。CBDも精神面に作用しますがTHCと同じ方法で作用するわけではありません。THCが持つ大麻で連想するハイになる感覚はもたらさないのです。
THCは脳内のカンナビノイド1(CB1)受容体と結び付き、ハイになる感覚や多幸感をもたらします。THCの摂取を消化ではなく吸引で行なった方がこの感覚はより強くなると報告されています。
CBDはCB1受容体との結び付きはあるとしてもかなり弱いものです。CBDがCB1と結びつくにはTHCの助けが必要で、それを経ることでTHCの持つ多幸感や鎮静作用などの不要な向精神性の作用を抑えてくれる役割を持ちます。
CBD vs THC:合法か違法か
アメリカでは大麻に関連する法律は頻繁に進展しています。基本的にCBDは米連邦法ではスケジュールI薬物(違法薬物)とされています。ヘンプ(大麻)は規制物質法の対象からは除外されたものの、麻薬取締局、食品医薬品局はスケジュールI薬物に区分しています。
しかしながら、37の州とワシントンD.C.で高水準のTHCを含有する医療大麻を合法となりました。これらの大麻は免許医師の処方箋が必要です。加えて、19の州、2つの領土、コロンビア特別区で星人によるリラックス目的での大麻とTHCの使用が合法となりました。
大麻関連製品の所有が認められていない州や治療用としての大麻利用が認められている州でも処方箋を持っていない場合、罰せられる可能性があるので注意が必要です。
CBD vs THC:医療面での利点
CBDとTHCには医療面で同じような利点を持っています。様々な症状を和らげる効果がありますが、CBDはTHCが持つような多幸感や陶酔作用をもたらしません。こうした副作用を避けるためにCBDを利用する人も多いのです。(※日本ではTHC含有商品は違法です)
CBD
エピディオレックス(Epidiolex)と呼ばれるCBD処方薬が2018年6月に米食品医薬品局(FDA)により正式に承認されました。処置の難しい珍しいタイプのてんかん症状の治療に使用されています。
CBDは下記のような症状への効果が期待されています。
発作
炎症
痛み
精神障害
炎症性腸疾患
吐き気
偏頭痛
うつ
不安症状
社交不安
統合失調症
睡眠障害
心的外傷後ストレス障害(PTSD)
FDAの認可が得られたとはいえ、こうした症状に効果があるかどうかを判断するにはさらなる研究が必要です。現在は下記のような症状に対しても研究が進められています。
気分障害
慢性痛
炎症疾患
アルツハイマーやパーキンソン病などの神経変性疾患
腫瘍
THC
一方のTHCは、二つの合成製剤が特定の症状の治療薬としてFDAの認可を得ています。ナビロン(Nabilone)は抗がん治療などの化学療法による吐き気やむかつきを抑える薬として、ドロナビノール(Dronabinol)は化学療法薬による吐き気やむかつきを抑える治療薬としてそれぞれFDAに認可されています。エイズや拒食の患者に対して食欲を増進させる使途も認可されています。
THCは主に下記の症状に効果があるとされています。
痛み
筋痙縮
緑内障
不眠症
食欲不振
吐き気
不安
最近の研究ではTHCが効果を発揮する可能性があるとして下記の症状に対しても研究が進められています。
閉塞型睡眠時無呼吸
線維筋痛症、線維筋痛
慢性神経障害性疼痛
CBD vs THC:副作用
CBDの摂取量が多くても人体は耐性があります。研究ではCBDの使用で起こる副作用としては主に他に摂取している薬に作用して起こる結果だとしています。肝細胞への障害などがそれに当たります。
CBDの副作用としては
食欲の変化
倦怠感
体重の減少
めまい
下痢
眠気
自殺意識の増加
THCの副作用としては
心拍の増加
協調性の欠如
口の渇き
目の充血
反応の遅さ
記憶消失
不安
疲れ
困惑感
悩みがちになる
低血圧
発作や発作に似た症状
これらの副作用は向精神性の成分の持つ影響の一部です。どちらも命に関わる致命的な症状ではないことが一般的です。しかし、多量のTHC摂取は精神面での悪影響が長期化する可能性があり、特に思春期の場合はなおさらです。
大麻の長期使用はうつや無気力につながる無気力症候群を引き起こすと2021年のリサーチ結果があり、精神病、うつ病、不安障害、統合失調症、依存症をまねくきっかけにもなると注意しています。しかしながら大麻の使用が統合失調症などの精神障害をきたすとする決定的な証拠は今のところ無いのも事実です。
CBD vs THC:薬物検査での反応
THCやCBDといったカンナビノイドは体内の脂肪に蓄積されます。そのため数日から数週間の間は薬物検査で検出される可能性があります。
全ての薬物検査がCBDを検出するわけではありませんが、CBDに特化した検査も存在します。通常の薬物検査ではTHCに関連した成分の検出を行うため、THCや大麻の使用は結果に現れる可能性があります。
同様にヘンプもCBDに加えてTHCの成分を生成するため、THC自体を使用していなくても陽性反応が出ることはあります。
THCフリーの製品だとしてもTHCが全く入っていないわけではないケースがあるので注意することが重要です。薬物検査を控えているならCBDやTHCの製品は使用しないことが賢明でしょう。
CBDとTHCが異なる成分なのに、なぜCBDオイル内のTHC含有量が気になるのか?
CBDとTHCは大麻中に含まれる最も傑出した二つのカンナビノイドです。大麻はカンナビスとヘンプの2種類に区別されますが、カンナビスはTHC濃度が高く、ヘンプはCBD脳が高いのが特徴です。
2014年以前の平均的なカンナビス種はTHC12%を含有していましたが、2020年のリサーチで現在の標準値としては15%から30%のTHCを含有しその数値は地域によるとされています。
CBDオイルはヘンプ由来のため、より低い水準で少量のTHCを含有する場合があります。米連邦法で合法とするにはTHCが0.3%未満のCBD製品である必要があります。(※日本ではTHC含有のCBDオイルは違法です。)
いざ、購入
CBDとTHCは共に医療面で利点があります。どちらも安全ですが、副作用の可能性があったり他の服用薬と反応する可能性があります。使用前には医師と相談するようにしましょう。
以下はこれまでを踏まえたCBDとTHCに関するYes-Noリストです。
| CBD | THC |
違法薬物 | いいえ(以下参照) | はい(以下参照) |
ハイになる | | はい |
エンドカンナビノイド・システムに作用 | はい | はい |
副作用 | いつくかあり | 向精神性の副作用 |
薬物検査で陽性 | 可能性あり | はい |
痛みを緩和 | はい | はい |
吐き気を緩和 | はい | はい |
偏頭痛を抑える | はい | はい |
不安を減らす | はい | はい |
うつを楽にする | はい | いいえ |
発作を減らす | はい | いいえ |
抗炎症作用 | はい | はい |
不眠症に役立つ | はい | はい |
精神病に役立つ | はい | いいえ |
食欲増進 | いいえ | はい |
その他の様々な症状に使用 | はい | はい |
CBDは合法なの? ヘンプ由来のCBD製品でTHC0.3%未満のものは米連邦法で合法とされていますが、いくつかの州法では違法であるケースがあります。逆にマリファナ由来のCBD製品は米連邦法で違法であるものの、いくつかの州法では合法です。(※日本ではTHC含有の商品は全て違法です。) お住いの州や旅行先として検討している州の州法を確認するようにしましょう。アメリカで処方箋なしで手に入るCBD製品は米国食品医薬品局(FDA)の認可を得ていない商品であり、ラベル記載事項と実際の成分含有量などが不正確である可能性もあるので注意しましょう。
2022年9月13日
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